前回まで
次の内容についてこれまで書いてきました。
ご興味のある方は「カメラの基礎」のページをご確認ください♪
現在はカメさんの「使い方」について更新しています。
- カメさんの選び方(全5回)
- レンズの選び方(全5回)
- カメさんの使い方(前回は標準露出と適正露出について)
前回の復習になりますが、「見たままに近い明るさで撮ることを標準露出」、「自分好みの明るさで撮ることを適正露出」と言います。
そして「露出は絞りとシャッタースピード、そしてISO感度で調節できる」ことを前々回お話しました。ISO感度は少し分かり辛いので、今回は「絞りとシャッタースピード」に絞って標準露出や適正露出を作る方法を書いていこうと思います。
標準露出で撮ってみよう
まずは標準露出で撮ってみましょう。至極簡単です。
シャッターを半押しにすると、「ピピッ」とピントが合うのと同時に、ピントを合わせた場所の露出をカメさんが自動で検出してくれます。このままシャッターを押せば標準露出で撮ることができます。
※カメさんが自動で露出を検出してくれることをAE(Auto Exposure)と言います。ピントを自動で合わせてくれることがAF(Auto Focus)ですので、カメさんはシャッターの半押しでAFとAEの両方の作業をしてくれるわけです。
お団子にピントを合わせて、シャッターボタンを半押し、そしてそのまま「パシャ」。
こうして取れたのが↑の写真です。標準露出ですね。
ですが、個人的にはちょっと暗い印象でした。
適正露出で撮ってみよう
先ほどはカメさんが自動で明るさを決めてくれる「標準露出」で撮影してみました。
しかしながら個人的にはちょっと暗い印象だったので、もう少し明るくしたいと思いました。
つまり「私にとっての好みの明るさ(適正露出)で撮影したいな」ということです。
そこで少し明るくして撮ってみました。
みたらしの光沢感が増して、より美味しそうに見えると思います。
こちらは逆に、標準露出から少し暗くして撮ってみました。
ちょっと黒ずんで濁って見えますね。
このように、明るさを調節して「適正露出」で撮ることができるのですが、その仕組みが絞りとシャッタースピードにあるわけです。
絞りとシャッタースピード
絞りとシャッタースピードについては前々回に説明したので、まだ見ていない方は先にご覧ください。
「絞り」とは水道で言えば蛇口のことで、絞りを変えることで蛇口の大きさ(一度に光を通す量)を変えられます。
「シャッタースピード(以下SS)」は水道で言えば蛇口を開けている時間のことで、シャッタースピードを変えることで光を通す時間を変えられます。
つまり、次のような関係になります。
- 絞りが開いて(蛇口が広く)、SSが長い(蛇口を長く開ける)=光が沢山入る
- 絞りが狭く(蛇口が狭く)、SSが短い(蛇口を短く開ける)=光があまり入らない
しかし、これですと1は明るくなり過ぎて、2は暗くなり過ぎてしまいます。
まずはカメさんが自動で検出してくれる「標準露出」に近づける必要があるので、「明るすぎず・暗すぎない」光の量を作る必要があります。そのためには次のような設定にします。
- 絞りが大きく(蛇口が広く)、SSが短い(蛇口を短く開ける)=光が適量入る
- 絞りが狭く(蛇口が狭く)、SSが長い(蛇口を長く開ける)=光が適量入る
この考え方はとても重要なので、もう一度書いておきます(笑)
- 絞りが大きく(蛇口が広く)、SSが短い(蛇口を短く開ける)=光が適量入る
- 絞りが狭く(蛇口が狭く)、SSが長い(蛇口を長く開ける)=光が適量入る
これで標準露出を作ることができました。
最初のお団子の写真ですね。
このお団子の場合、私は「標準露出」を暗いと感じたので、更に明るくしたいと思いました。
その場合、考えられるのは次の3つの方法です。
- 絞りを開ける(蛇口を更に広げる)
- SSを遅くする(蛇口を開ける時間を更に延ばす)
- 絞りを開けてSSも遅くする(蛇口を広げて、時間も延ばす)
1の場合、絞りを変えることになるので、「ボケ具合」に影響が出ます。
以前も説明しましたが、人間の目と同じで、細目にすると遠くまでピントが合いますが、目を見開くと一部分にしかピントが合わなくなります。今回は「明るくしたい」ので絞りを開けることになるので、標準露出の時よりもボケの強い写真になります。
2の場合、SSを変えることになるので、「被写体の動き」に影響が出ます。
サッカー少年を撮った場合、SSを速くすると足が止まって見えますが、SSを遅くすると足が残像に見えるような写真になります。今回は「明るくしたい」のでSSを遅くすることになるのですが、被写体が静止しているお団子なので、特に影響はでませんね。
3の場合、絞りもSSも両方買えることになるので、「ボケ具合」も「被写体の動き」にも影響が出てしまいます。「よほど明るくしたい・よほど暗くしたい」という状況でなければやる必要はないですね。
このように、絞りやSSコントロールすることで、自分好みの適正露出を実現することができました^^
絞りとシャッタースピードの数値について
ここまで抽象的に「絞りを開ける/絞る」、「SSを速くする/遅くする」というような表現で説明してきましたが、これは具体的な数字で表すことができます。忘れている方はこちらの記事もご覧ください。
こちらの記事にも書きましたが、絞りはF値として表現されます。
沢山の光の量を取り込める順に、F値は次のような順番(一段表記)になります。
F1.0 → F1.4 → F2.0 → F2.8 → F4 → F5.6 → F8 → F11 → F16 → F22 → F32
SSについては、シャッターを開けている時間で表示されます。
沢山の光を取り込める順に、SSは次のような順番(一段表記)になります。
1(秒)→1/2(以下同様)→1/4→1/8→1/15→1/30→1/60→1/125→1/250→
1/500→1/1000→1/2000→1/4000→1/8000
SSは一番上のカメラの写真のダイヤルをご覧頂けると分かりやすいです。
「一段」というのは光の量が「2倍」や「1/2」になる単位なので、次のようになります。
- F4からF2.8に絞りを開けると光の量が2倍になる
- F4からF5.6に絞りを絞ると光の量が1/2になる
- 1/2秒から1秒にSSを遅くすると光の量が2倍になる
- 1/2秒から1/4秒にSSを速くすると光の量が1/2になる
1段単位だと間が広すぎるので(2倍や半分になってしまう)、1/3段刻みが一般的です。
今回のお団子の標準露出の写真は次のような設定でした。
絞りF2.8、SS1/50秒
適正露出の写真はここから0.3段明るくしたものです。
0.3段明るくするのを「絞り」で考えると
F2.8→(0.3段明るく)→F2.5→(0.3段明るく)→F2.2→(0.3段明るく)→F2(F2.8から1段明るい)
0.3段明るくするのを「SS」で考えると
1/50→(0.3段明るく)→1/40→(0.3段明るく)→1/30→(0.3段明るく)→1/25(1/50から1段明るい)
つまり次のような組み合わせが考えられます。
絞りF2.8、SS1/50(もともとの標準露出)
絞りF2.8、SS1/40(絞りは変えずにSSを0.3段分遅くして0.3段分明るくした)
絞りF2.5、SS1/50(SSを変えずに絞りを0.3段分開けて0.3段分明るくした)
まとめ
少し長くなりましたので、今回はここでまとめたいと思います。
- シャッター半押しでカメさんは自動で標準露出を検出してくれる(AE)
- シャッターを押せば標準露出になる
- 適正露出にするには絞りやシャッタースピードを調節する必要がある
- 明るくするにはF値を小さくするか、SSを遅くする
- 暗くするにはF値を大きくするか、SSを速くする
- 絞りを変えるとボケに影響する
- シャッタースピードを変えると被写体の動きに影響する
- 光が2倍や1/2になる単位を1段という
- 1段は広すぎるので1/3段(0.3段)ずつ考えることが多い
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