【初心者向け】カメラの使い方 Vol.6 ~ISO感度について~

カメラの使い方

前回まで

次の内容についてこれまで書いてきました。
ご興味のある方は「カメラの基礎」のページをご確認ください♪
現在はカメさんの「使い方」について更新しています。

  • カメさんの選び方(全5回)
  • レンズの選び方(全5回)
  • カメさんの使い方(前回はAモードとSモードで適正露出にする方法)

ISO感度とは?

ここまで、写真の露出(明るさ)は絞り(F値)とシャッタースピード(SS)で調節することができる!と話してきたわけですが、もう一つ追加される要素がISO感度です。

ISO感度の感度は略して「イソ」と呼ぶ方が多いでしょうか。そのまま「アイエスオー」でもOKです。ここでは言葉の定義について書きますが、ご興味のない方は飛ばして頂いても大丈夫です。

ビジネスマンの方ですと、ISOと聞いたらISO9001、ISO14001、ISO27001といった規格が頭に浮かぶ方もいるかもしれません。ISOというのはInternational Organization for Standardizationのことで、日本語ですと「国際標準化機構」と呼ばれています。ISOじゃなくてIOSでは?と思ってしまいますが、呼びやすさですかね?

その国際標準化機構が色々な世界基準を定めていて、先ほどのISO9001ですと品質の世界基準、ISO14001ですと環境の世界基準、ISO27001ですと情報セキュリティの世界基準を定めているわけです。例えば企業がISO9001を取得すると「うちの会社は世界基準で品質管理を行っています!」とアピールできるわけです。脱線しましたね(笑)

その世界標準化機構が「どれだけ弱い光を記録できるか?について定めたフィルムの規格」のことをISO感度と呼んでいます。デジタルカメラのISO感度については「ISO 12232」に定められているようですが、専門家以外は読む必要はないですね。

フィルムカメラにおけるISO

私も詳しいわけではありませんが、フィルムカメラでは、中に入れているフィルムごとにISO感度(以下ISO)が決まっています。たとえばISO200のフィルム、ISO800のフィルムなどです。なので、24枚とか32枚とか、そのフィルムを使い終わるまではISOを変えることはできません。

デジタルカメラにおけるISO

デジカメの場合、フィルムの替わりに電子的なセンサーが入っているので、撮影の度にISOを変えることができます。例えば1枚目の撮影は晴れの日の外だから「ISO100」で撮る、2枚目は暗い室内だから「ISO1600」で撮るといったことができるわけです。

さらっと晴れの日の外だから、暗い室内だからと書きましたが、ISOは先ほど書いたように「どれだけ弱い光を記録できるか?」についての規格なので、ISOを下げれば(ISO100等)強い光を中心に記録し、ISOを上げれば(ISO1600等)弱い光も記録できるわけです。

しかしながら、ISOを上げて弱い光を記録するには、センサーで光を増幅させることになるので、画像が荒れて写真にノイズが入ってしまいます。

絞り(F値)とシャッタースピードとISOの関係

これまで、ISOは省いて考えてきたので「写真の露出(明るさ)は絞りとシャッタースピード(SS)」で割り出してきました。これにISOが加わります。

以下、水を光だと思って考えてみて下さい。

蛇口(絞り)を捻って、3秒注いだのが左のコップ(150cc)、5秒注いだのが真ん中のコップ(200cc)、7秒注いだのが右のコップ(250cc)としましょう。蛇口の水を注ぐ秒数がシャッタースピードです。

左は光が適量を満たしていないのでローキー(暗めの写真)、真ん中は適量なので適正露出、右は多いのでハイキー(明るい写真)となります。

この中にトマトジュースを凍らせた赤い氷(ISO)を投入したと想像してください。
左のコップは150ccから200ccに、真ん中のコップは200ccから250ccに、右のコップは250ccから300ccになってこぼれます!

つまり、ローキーが適正露出に、適正露出はハイキーに、ハイキーは超ハイキーになりました。水(光)の量は変わってませんが、氷(ISO)で水増しされたわけですね。

しかもこの氷は赤いトマトジュースの氷なので、溶けてくると水が赤く濁ります。これがISOを上げることで写真の画像が荒れる原因です。トマト氷を増やせば増やすほど、赤みが増して濁ってしまうのです。

iPhone 3GS F2.8 SS1/10 ISO1000

2011年のマドリードでの古い写真ですが「ISOを上げたことによる画像の荒れた雰囲気」が分かりやすかったのでご紹介します。上の例ですと「大量投入したトマト氷が溶けて濁った水」のことですね。
夜間の監視カメラの映像をTVのニュース等で見たことがあるかと思いますが、ISOを上げて電子的に明るくしているので、このように赤いノイズが走ってしまうのです。

F値×SS×ISOの数字

F値×SS×ISOの値について、前回のお団子の写真をもとに考えてみましょう。この写真の設定はこのようになっています。

絞り(F値):F2.8 SS:1/50 ISO:1600

+1/3段 みたらしの透明感がより出ています

上の写真から+1/3段分明るくしてみました。これには3つの方法があります。

  • 元の写真   絞り(F値):F2.8  SS:1/50  ISO:1600
  • 絞りを開ける 絞り(F値):F2.5  SS:1/50  ISO:1600(よりボケる)
  • SSを延ばす  絞り(F値):F2.8  SS:1/40  ISO:1600(ブレやすい)
  • ISOを上げる 絞り(F値):F2.8  SS:1/50  ISO:2000(赤いノイズが増える)

今回は+1/3段明るくするので、それぞれの数字について具体的に見てみると次のようになります。

F値:F2.8 →(+1/3段)→ F2.5 →(+1/3段)→ F2.2 →(+1/3段)→ F2(F2.8から+1段)
SS:1/50 →(+1/3段)→ 1/40 →(+1/3段)→ 1/30 →(+1/3段)→ 1/25(1/50から+1段)
ISO:1600 →(+1/3段)→ 2000 →(+1/3段)→ 2500 →(+1/3段)→ 3200(1600から+1段)

3つのうち、どれか1つを上げれば+1/3段を実現できることになりますね。

ちなみに3つ全て1/3段上げると「F2.5、SS1/40、ISO2000」になりますが、これは元の写真「F2.8、SS1/50、ISO1600」より+1段明るくなるわけです。復習ですが、+1段明るくなるということは、光の量が2倍になるということですね。

数字を見てると嫌になる人が多いのでこれぐらいにしておきますが、細かい数字まで全て覚える必要はありません。写真を続けていると1段単位は自然と覚えてきますが、1/3段刻みまでは覚えている人は少ないでしょう。カメさんを操作してると勝手に数字は表示されるので、撮影者はその数字を選ぶだけです。

センサーとノイズの関係

マドリードの「ISO1000」の写真と、お団子の「ISO1600」の写真を比べて、ISOの高いお団子の写真の方がノイズが少ないことに気づいた方もいるかと思います。

マドリード(ISO1000)
お団子(ISO1600)

これはカメさんの性能の問題で、ISO1000はiPhone 3GS、ISO1600はSony α7RIV(アルファ セブン アールフォー)で撮影しています。センサーは大きいほどノイズに強く、また新しいセンサーほどノイズに強くなっています。α7RIVはフルサイズセンサーで、iPhone 3GSは1/3.2インチセンサー(推定)なので、センサーサイズはα7RIVの方が約55倍も大きくなります。

また、α7RIVの方が約10年新しいものです。この差によって、α7RIVの方が圧倒的にノイズに強いわけです。更に言いますと、同じサイズのセンサーの場合、画素数が少ない方がノイズに強くなります。

  • センサーが「大きい方」がノイズに強い
  • センサーが「新しい方」がノイズに強い
  • 同じセンサーサイズなら「画素数が少ない方」がノイズに強い

まとめ

今回のポイントを整理したいと思います。始めた頃は本当にややこしいので、分からなくなる度に見返して頂けると嬉しいです^^

  • ISO(感度)=国際標準化機構が決めた光の感受性に関する規格
  • フィルムのISOは固定、デジタルのISOは撮影する度に変えられる
  • ISOを上げると明るくなるがノイズが増える
  • 写真の明るさを調節するには「F値、SS、ISO」の「どれか、または複数」を変える
  • 大きく、新しく、画素数の低いセンサーがノイズに強い

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