和菓子と日本画の二人展@北鎌倉宝庵
去るゴールデンウィークに、北鎌倉の茶室宝庵にて、和菓子作家の空羽(くうう)さんと、日本画家の天内純子さんによる二人展が開催されました。時間指定の予約制のため、限られた人数の中でゆっくり拝見させて頂くことができました。
春夏秋冬の展示
展示は四季を感じられる構成になっていました。
季節の移り変わりや、花鳥風月といった自然の美しさ。
日本ならではの風土の持つ魅力を「和菓子」や「日本画」で表現するというのは、この時代にとても価値のあることですね。
春 ~Spring~
入口にはやえ。
春には赤やピンクのお花が咲きだしますね。
桜はとりわけ心にとまります。
こちらは鎌倉に群生するシャガ。
浄智寺の谷戸にある宝庵、たからの庭にも毎年咲き乱れています。
練り切りでこの写実的な表現は驚きです。
夏 ~Summer~
鎌倉の初夏と言えば紫陽花。
日本画の「あおあわく」と一体化したような表現ですね。
昭和9年に、たからの庭に窯場を築いて作陶されていた久松昌子さんのうつわにも溶け込んでいました。
床には翠雨2とスイカズラ。油絵の抽象画のようにも見えますね。
生き生きとした、自然の躍動感が伝わってくるようです。
頭上には「水上青々翠」。
脚下には「水 跳ねる」。
借景の緑や蹲(つくばい)の水と溶け合っていました。
宝庵の豊かな自然との共存。
お茶室での展示ならではですね。
秋 ~Fall~
秋は黄金色。
銀杏の絨毯を様々な黄色・緑色のお干菓子で見事に表現されていました。
絵の冬隣という銘も、まさに季節のゆらぎを感じることができました。
「月光」と「つきあかり」
言葉にする必要もありませんね。
「うつろい」「うつして」
優しい自然光とともに。
冬 ~Winter~
「うすらひ」と「寒月」
世界の彩度が徐々に薄まっていく様は、冬至に至る陽の光と比例するようです。
年を跨いで陰から陽へ。
「あわゆき」の舞う、その先に見えるのは蝋梅でしょうか。
足元には福寿草が咲き始めています。
お茶を一服頂いて
「そらいろ」と「みずいろ」。爽やかな知覧茶と共に頂きました。
最後まで「四季の豊かさ」、「自然との共存」を感じさせられた展示でした。
鎌倉に住んでから「冬は白と黄色、春は桃と赤、夏は青、秋は橙と紅」と、街を彩る自然の色が変化していくのを実感するようになりました。
写真はそれを切り取る行為ですが、和菓子や日本画も同様だと感じました。
季節の移り変わりが速い日本だからこそ、常ならざる「諸行無常」を実感すると共に、「松樹千年翠」といった変化のない生命力や力強さに憧れを感じるのかもしれませんね。
写真について
この日は全てLeica M10-RとSummilux 35mmで撮影しています。
二重像を重ねるレンジファインダー、固定式の背面モニター、被写体を注視できない準広角。
展示を撮影するには向かないセッティングだったことに反省ですが、落ち着いた環境で、ゆっくり撮らせて頂けたことに感謝です。
コメント