前回まで
次の内容についてこれまで書いてきました。
ご興味のある方は「カメラの基礎」のページをご確認ください♪
現在はカメさんの「使い方」について更新しています。
- カメさんの選び方(全5回)
- レンズの選び方(全5回)
- カメさんの使い方(前回は絞りとSSを使った露出の調整について)
標準露出について
さて、絞りで光の通過量をコントロールし、シャッタースピードで光を当てる時間をコントロールできることが分かりました。
では、一体どれぐらいの光をフィルムやセンサーに当てれば良いのでしょうか?
前回の様にコップに水をそそぐ場合で考えてみたいと思います。
例えば250cc入るコップでしたら、200cc程度を目安にそそぐ方が多いのではないでしょうか?
150ccだとちょっと少ないな~。
250ccだとナミナミでこぼれそうだな~。と思ってしまいますよね。
これを写真に当てはめると、200ccが標準露出、150ccがローキー(光が足りなくて暗い)、250ccがハイキー(光が多くて明るい)となります。
左のグラスから「ローキー」、「標準露出」、「ハイキー」のイメージ。
(ちなみに写真自体はローキー(暗め)ですね)
露出に正解はあるのか?
上の例では200ccが標準露出だと書きましたが、お腹一杯の人でしたら少なめの150ccが良いでしょうし、喉が渇いている人は多めの250ccが良いでしょう。写真も同じで「標準の200ccでないとダメだ!(標準露出でないとダメだ!)」ということではなく、その人の好みの量(明るさ)を選ぶことができます。この「自分の好みの明るさ(露出)」のことを適正露出をといいます。なので、暗すぎても明るすぎても、自分が良いならそれは適正露出となります。
一方、標準露出は「明るさや色が見たままに近い状態」のことで、現代の一般的なカメラでしたら自動で測定してくれます。上のグラスの例で言うと「これは250ccのグラスだから標準の量は200cc」と自動で判断してくれます。スマホでもタップする場所を変えると自動で明るさを調整してくれますよね。
ちなみに、明るくなると色は薄くなり、暗くなると色は濃く見えるので、明るさと色の濃さは反比例します。
順光での露出
撮影における光の扱いについては今後説明する予定ですが、順光というのは撮影者の背後に太陽がある場合で、写真に太陽は写りません。
順光の場合、写真に写る部分に太陽の光が均一に当たるので、標準露出というのは大まかに言えば基本的に1つになります。例えば上の写真ですと、人も、テントも、海も、空も、どれも見たままの印象に近いですよね。
この写真で露出を変えてみると・・・
まずは明るくしてみました。いわゆるハイキーの写真です。
空が白っぽくなり、テントの緑色も淡い薄緑になっていますね。
こちらは暗くした、ローキーの写真です。
パラソルの下の様子は分からなくなってきましたね。空もテントもかなり濃い色になっています。
標準露出は最初の1枚だけですが、3枚のどれが良いかはその人次第なので適正露出には3枚ともなり得ます。
(緑色のテントが商品だった場合、ハイキーやローキーで撮ると色が変わってしまうので、自分にとっては適正露出となり得ますが、商品写真としては問題がありますね)
逆光での露出
標準露出は、1つの写真で複数の正解がある場合があります。
例として、撮影者の正面に太陽があり、写真の中に太陽が写っている逆光の写真を紹介します。
写真自体は同じで、露出だけ変えたものです。
1枚目は手前のパラソルを基準にして露出を決めました。つまりパラソルにとっての標準露出なので、パラソルやスイカのボールなどはハッキリと見えますね。スイカのボールや浮き輪の色も、実物に近い色になっていると思います。
2枚目は、空を基準に露出を決めました。空にとっての標準露出だけあって、空や雲の色や形が綺麗に出ています。特に雲の質感は1枚目では感じられません。逆にスイカのボールは暗すぎて判別するのも難しいですし、浮き輪の色も濁ってしまっていますね。
このように、逆光等の場合は「何に基準を併せて露出を決めるか」で写真全体の明るさが変わってきます。1枚目も2枚目も、写真の明るさは違いますがどちらも標準露出(一方はパラソルにとって、一方は空にとっての標準露出)だと言えるでしょう。
付け加えると、1枚目は写真全体としてはハイキーで、2枚目はローキーだとも言えます。
分かり辛いのでまとめてみましょう。
1枚目
- (写真の中で暗い部分の)パラソルに露出(明るさ)を合わせた=パラソルにとって標準露出
- (写真の中で暗い部分の)パラソルやスイカのボールの色や形が綺麗に見える
- (写真の中で明るい部分の)空や雲が明るすぎて見辛く、色も薄くなっている
- (写真の中で暗い部分の)パラソルが綺麗に見えるように明るさを持ち上げているので、全体として明るいハイキーな写真になる(明るい部分は更に明るくなる)
2枚目
- (写真の中で明るい部分の)空に露出(明るさ)を合わせた=空にとって標準露出
- (写真の中で明るい部分の)空や雲の色や形が綺麗に見える
- (写真の中で暗い部分の)パラソルやスイカのボールが暗すぎて見辛く、色も濃くなっている
- (写真の中で明るい部分の)空が綺麗に見えるように明るさを落としているので、全体として暗いローキーな写真になる(暗い部分は更に暗くなる)
標準露出と適正露出のまとめ
- 標準露出=明るさや色が見たままに近い状態
- 適正露出=自分の好みの明るさ
- 順光の場合、標準露出は大まかに言えば1つ
- 逆光等の場合、複数の標準露出がある(何に露出を合わせるか次第)
- 標準露出より明るく撮るのがハイキー。全体的に白っぽく、色が薄くなる。
- 標準露出より暗く撮るのがローキー。全体的に黒っぽく、色が濃くなる。
- ハイキーやローキーは標準露出ではないが、適正露出にはなり得る。
次回
今回の「標準露出」や「適正露出」を実現するために、前回説明した「絞り」と「シャッタースピード」を具体的にどのように設定するのか?
次回は露出と絞りとシャッタースピードの関係について説明します。
ここが分かると写真やカメラが面白くなってきます♪
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